AIに仕事を奪われちゃう論争
「ChatGPTのような生成AIが発展したので、今後プログラミングのような専門性の高い仕事はAIが担うようになる」
「プログラミングのような専門知識を覚えても意味が無い」
・・・という論調も目にするようになりました。
実際にソフトウェア開発にも携わっていた者として、生成AIをどう捉えているかを書いてみます。
プログラミングに限らず、専門職と人工知能との関わりについて考えるヒントになれば嬉しいです。
まず、プログラミングは、論理的に矛盾しない事を最優先に作る必要があります。
論理的に正しくない記述があれば、そこから破綻します。
現時点での生成AIは、問い掛けに対して、最も文脈に即していると思われる回答を作る、という事に注力しています。
ようするに、空気を読んで相手が欲しそうな文章を作ってあげる、という事を最優先にしています。
この仕組み上、大筋は正しいが論理的な間違いが幾つか含まれている、というプログラムコードが生成される事になります。
この傾向は、問い掛けの文章やAIの回答が長くなるほど強まります。
生成AIのこういった間違いを発見したり修正させて、ゴールまで辿り着けるのは、専門知識と判断力を持った人間のエンジニアです。
手短に書くと、生成AIの性能が今後向上したとしても、それを使いこなすプロフェッショナルなエンジニアが必要な事に変わりはありません。
とはいえ、将来的には、生成AIはこの手の壁は乗り越えるでしょう。
しかし、その先には、もうひとつ大きな壁が待っています。
業務用ソフトウェアの設計や開発、リリースには、政治的な判断が多分に求められます。
ユーザーの要望、上司の意見、チームメンバーの意見、ユーザーの上司や役員の要望、経営者の方針、価格と機能の品質の調整、限定されたプラットフォーム…しかも、これら全ての裏には感情的な動機やマウンティングの結果まで含まれていたりします。
これらを理解した上で、政治的な調整の結果を踏まえて適切なコードを生成してくれるようになるには、10年や20年では難しいと予測しています。
個人的には、そんな事をあんまり理解しすぎない方が世の為だとは思いますが。笑
エンジニアや専門職が本当に不要になるとしたら、こういった壁を突破した後になるでしょう。
現状では、生成AIは、ちょっとミスが多いものの、どれだけ働かせても体調を崩したりしない、屈強なアシスタントといったところです。
将来を悲観するよりも、人工知能の特徴を理解した上で、どんどん活用しましょう。
そもそも、何もできずに口だけが達者な大人が疎まれるのは、今も昔も未来も一緒です。笑
そして、人に専門的な知見が求められる社会は、まだまだ続きます。
結局のところ、自分の頭の中で悩んで何もしないくらいなら、無駄と言われながらも外から新しい知識を吸収しといた方が、頭は断然鍛えられます。
社会はいつでも、そういった「鍛えられた頭脳を持った人間」を求めています。
fsラボ オンラインスクール